正解ではなく最適解を求める時代がやってきた

2018年1月、大学入試センター試験が2日間に渡って実施されました。

センター試験の地理の科目で、ムーミンの出身地がどこなのかという主旨の出題があったと話題になったのを覚えているでしょうか。

アニメの中で描かれているムーミン谷は果たして、フィンランドなのか仮想の国なのか。

今回は、ムーミン谷の謎を追求する話ではなく、センター試験を例にとった正解の定義について、少し見ていきたいと思います。

1次試験は知識重視

昔から、センター試験は基礎的な知識を問うものであり、大学固有の2次試験は、応用力や思考力を問うものであるとされてきました。

しかし、センター試験は、近年、多くの私立大学でも利用されることになり、暗記や知識だけでなく、少しずつ、思考力や応用力も見る試験に変化してきているように見えます。

今回のムーミンの出題も、答があいまいなだけに、単なる暗記では通用しないように作問されたのでしょう。

英語も昔は、リーディングだけでしたが、最近はヒアリングもあります。国語や数学もあと数年で、より実用的なものに変わると予想されています。

総じて、実用的なものに変えていくということは、問題の曖昧さが増えるということになります。現実問題は暗記だけではどうにもならないからです。

巡回セールスマン問題

あいまいな問題の象徴とされるのが、次に紹介する「巡回セールスマン問題」です。
理系や情報系の学生であれば、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

【問題】
A、B、C、Dと4つの拠点があるとします。あるセールスマンがいて、A拠点を出発して、すべての拠点を訪問してから、最後にA拠点に戻ってくるときに、一番、総移動距離が短く戻ってこれるのは、どのパターンですか?

というような問題になります。

すべてのパターンを列挙してもらうと分かると思いますが、答として考えられるパターンとしては、次の3通りがあります。

①A→B→C→D→A
②A→B→D→C→A
③A→C→B→D→A

この3通りの総移動距離をすべて計算して、一番少ないものを正解とすれば完了となります。

本例のように、拠点が4つだと巡回セールスマン問題も簡単です。しかし、拠点が5つ、6つ…と増えていくと、この問題はパターンが爆発的に増えていき、正解を探すのがとても難しくなります。

15拠点くらいになると、何百億パターンの計算をしないといけなくなります。

このため、この問題を解く場合には「すべてのパターンの移動距離を調べて、総移動距離が一番少なくなるパターンを見つける」という正攻法が通じなくなります。

そこで「一部だけ調べて、そこそこ距離が短くなりそうなパターンを見つける」と方針を転換して考えるのです。この場合の答は、正解ではなく、(局所)最適解と呼びます。

正解から最適解へ

少しアカデミックな話題になりましたが、話を元に戻します。

現在のセンター試験では、受験生は、ただひとつの正解を選択していくことになります。

しかし、上記の巡回セールスマン問題のように、どこかで妥協をすること、つまり、なんとなく正解のようなもの(最適解)を選択することも、現実的には重要になってきます。

ムーミンの問題がそのような戦略で出題されたのかどうかは分かりかねます。

しかし、理想から現実へ、正解から最適解へ、全体的にシフトしているのが、現代の潮流ではないかと私は見ています。

そして、この最適解を求めることこそが、現代のビジネスの世界で必要とされているスキルではないのか、と私は確信しています。

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